葬儀においては、故人から見てもっとも近しい関係にある家族が、たいていの場合、喪主を務めます。夫の立場にいる人が亡くなった場合、喪主は妻、もしくは成人した息子がいれば息子が喪主を務めることもあります。一般葬を行った場合はもちろんのこと、家族葬であっても、時間を割いて参列してくださった人たちへ、最後の言葉を述べるのが喪主の最大の役割です。
故人の想い出や遺志を伝えることができれば、参列した人たちの脳裏にも生前の様子がよみがえるでしょう。感謝の気持ちを伝えることがもっとも大事ですが、何か具体的に故人を偲ぶ出来事を添えることができれば、聞いている人の心の中に印象深いものとして残ります。葬儀はあわただしく行われることが多いので、なかなかゆっくりと挨拶文を考えている時間的余裕がなく、ともすれば紋切り型の挨拶となってしまい、聞く人の耳に右から左へと抜けていってしまいがちですが、誰もが知っているエピソードがないか、短い時間の中でも考えることが大事でしょう。
葬儀を締めくくる挨拶となるだけに後になって後悔しないためにも、少し時間を取ってしっかりと考えることが、亡くなった人に対する一番の供養の言葉となります。