葬儀は時代と共に変わってきていると言われます。こうした風習や儀式は時代よって少しずつ変化があります。とは言っても亡くなった人との別れを行う葬儀という様式は、その趣旨から時代によって大きく変わるものではありません。
風習ですから宗教や地域によって異なるのは当然と言えます。宗教や価値観も変わり、それぞれの地域での葬儀が異なっても、一般的には、葬儀の前夜に、お通夜がもうけられます。その理由は、本葬のまでの時間に死者を守るという考え方が多いようです。
ですから、本葬まで親族や親しかった友人や知人が遺体に付き添い、あの世に連れていかれないようにすることだと言われます。確かに宗教や地域により考え方や方法は異なりますが、基本的な考え方は同じです。本葬は形式的ですが、お通夜は料理や酒がふるまわれ、親しい人達で故人をしのぶわけですから、本葬以上に人間の死について考えさせられる場面と言えます。人が死ぬことと生きることを真剣に考えるのは、他人の死からしか学べないと言えます。親しかった故人の遺体と直面し、酒を酌み交わし、生前のことを話すことで、死とは何か、また生きることは何かを学ぶことができるわけです。未だ生を知らず焉んぞ死を知らん、と古人は述べていますが、将に的を射た言葉だと言えるでしょう。